建設省が昨年発表した「不動産リノベーションビジョン」を読んだことがありますか。建設省は、バブル崩壊後の日本の不動産業が目指すべき方向を多角的に探るための指針としてこのビジョンを位置づけていますが、これからの時代の不動産プレーヤーが参考にすべき内容もいくつか含まれています。全体としては、当たり障りのない「官製の不動産白書」の域を出ませんが、建設省が現時点で描くビジョンとして参考程度にはなるでしょう。ビジョンは「社会経済構造の変化と不動産需要」、「不動産業の展開方向」、「当面の課題と対応方向」という3章で構成されていますが、いずれも建設省の不動産ビジネスに対する現状認識と問題意識をかいま見ることができます。
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ただし、第1章ではいきなりバブル終息宣言が跳び出てきたり、地価再上昇への期待をもっともらしく述べたりと、相変わらずの楽観論が支配的ですし、第3章では不動産投資ビジネスを不動産業界の専売特許のように位置づけるなど、時代認識のズレも気になります。したがって、唯一まともな提言をしているのは第2章だけということになります。特に「不動産需要の変化に対応した新ビジネスの創出」のパートは、不動産プレーヤーには示唆に富んだ内容になっています。まず、現在の時代認識として、ビジョンは、「量的な充足から質的な充足へ」「物質的な充足から精神的な充足へ」と変化している時代だととらえています。そのうえで不動産業においても、量的・物質的なハード面からのアプローチに加えて、質的・精神的なソフト面でのアプローチがますます重要になってくると指摘しています。この指摘は大いに的をえたものだといえます。
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