じっさいに建っている住宅のなかには、耐震設計上要求される強さよりもずっと大きな強さをもっているものがあるということは、あの地震以前の実験や調査によって、あるていどはわかっていました。しかし、無数に倒壊した木造住宅があった反面、それらに囲まれて外観無被害の木造住宅があるのを目の当たりにすると、あらためてその理由を明らかにする必要を感じました。さいわい、原子力発電技術機構の多度津工学試験所にある大型振動台に、実物大の木造住宅模型を載せて加振実験をする機会に恵まれました。
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この実験にあたっては、工学院大学の先生をはじめとする仕事仲間と実験チームをつくり、日本住宅・木材技術センターに事務局になっていただきました。その結果確認されたことは、外壁のモルタルや内壁の石こうボードなど、仕上げ材による余力が莫大で、それが建物全体の耐震性の向上に大きく寄与しているということでした。逆に、それらの仕上げ材を取り払って、筋交いの入った木の軸組だけにして揺さぶってみると、神戸海洋気象台の地震動記録に対して、筋交いが何本も折れ、倒壊寸前の状態になりました。倒壊はかろうじて免れたので最低限度の耐震性はあったとはいえ、これでは大被害です。そこで結論は、木造住宅のつくり方によっては、結果的にひじょうに耐震的になっているものもたしかにあるが、単に法令上の耐震基準をぎりぎりに満たしただけのものは、倒壊しかねないほどの大被害をこうむるおそれがあるということです。それでは、倒壊寸前になるよりも、もっと被害を小さくしたいとすれば、どうすべきでしょうか。筋交いなどの耐力壁だけをあてにするのであれば、規定量以上の筋交いを入れることです。とうぜん、これは直接的に効果があります。この筋交いに加えて、ふつうの住宅では仕上げ材による余力が期待できます。ただし、筋交いと仕上げ材をあわせた効果については、まだ十分にはわかっていません。今後の研究課題です。
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